RU アレクサンダー・ドゥーギン独占インタビュー  「ロシア・ウクライナ戦争では誰も勝てない」 (概要欄に要約あります) 2025年5月23日

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ウクライナアレクサンドル・ドゥーギンの視点:ロシア・ウクライナ戦争と多極化する世界秩序


「プーチンの頭脳」とも称されるアレクサンドル・ドゥーギン氏が、現在のロシア・ウクライナ戦争の状況、今後の展望、そして多極化へと向かう世界秩序におけるロシアの役割について深く分析しています。

ロシア・ウクライナ戦争の行方
ドゥーギン氏によると、トランプ大統領が戦争終結を望んでいる一方で、ウクライナ、EU、ロシアのいずれもが現状に満足していないため、近いうちに停戦や和平交渉が実現する可能性は低いと見ています。戦争の終結は、政治的・戦場での変化、国際関係の変動、あるいは中国と台湾の紛争やパキスタンとインドの紛争といった新たな地域紛争の勃発など、予期せぬ要素が現れるまで先延ばしになるだろうと予測しています。

現在のところ、戦争が直ちに終結したとしても、明確な勝者は存在しないという見解を示しており、強いて言えばトランプ大統領のみが勝者になり得ると述べています。

戦争によるロシアの損失として、多くの人命が失われたことを最も大きな代償として挙げています。一方で、この戦争を通じてロシア社会は大きな変革を遂げ、西側の価値観や自由主義経済への依存から脱却し、伝統的な価値観を再認識し、真の主権を取り戻し始めたと分析しています。また、中国、アフリカ、ラテンアメリカ、イスラム世界など、新たな友好国との関係を深め、多極性の概念を受け入れたことも利点としています。
しかし、軍事能力の過信、軍の腐敗、近代化の遅れといった内部的な課題も露呈したと認めています。


ウクライナについては、独立国家としての地位を過去も現在も持ちえず、将来も同様であると断言しています。現在のウクライナは西側の完全な支配下にあり、ブリュッセルとワシントンという二重の宗主を持つ「奴隷」のような状態であると厳しく批判しています。


トランプ大統領とロシア
ドゥーギン氏は、トランプ大統領を単なる個人としてではなく、西側社会における自由主義グローバリズムへの抵抗という歴史的な潮流の象徴として捉えており、その点で信頼できる存在だと考えています。トランプ大統領がロシアとの関係改善を図る可能性は十分にあり、ロシアとアメリカの間には、北極圏での競争を除けば、本質的な矛盾はほとんどないと指摘しています。


多極化する世界秩序とロシアの役割
現在、単極でも二極でもない、多極的な世界秩序が形成されつつあり、トランプ大統領はその一極(アメリカ)を代表する存在となる可能性を指摘しています。中国とインドもまた、この新たな世界秩序において重要な役割を果たすと考えています。

ロシアは、中国とアメリカの間でバランスを取り、より安定した平和な関係を築く上で重要な役割を果たすことができると主張しています。また、アメリカの学者や政治エリートの中には、ロシアとの関係を修復し、中国に対抗しようとする動きが見られるものの、ドゥーギン氏は、共通の敵であるグローバリストに対抗するために、ロシア、中国、アメリカが三国間の戦略的協定を結ぶべきだと提案しています。

インドについては、すでに偉大な力を持つ国と見なしており、反中国戦略を放棄すれば、さらに大きな力を持つ可能性があると述べています。パキスタンとの軍事衝突におけるインドの敗北は、西側への過度な依存が原因であり、中国の地政学的な支援がパキスタンにあったことも教訓だと指摘しています。

ヨーロッパに関して、EUは現在グローバリストの最後の砦であり最悪の状態だとしながらも、反自由主義的なポピュリスト勢力の台頭によって、多極的な世界の新たな極となる可能性も示唆しています。さらに、イスラム、アフリカ、ラテンアメリカも新たな文明国家として統合され、多極的な世界秩序の新たな極となるべきだと提唱しています。
歴史認識とロシアの未来
ドゥーギン氏は、ロシアと中国が第二次世界大戦の勝利を共に祝うことの重要性を強調し、過去の勝利を未来のために「更新する」必要があると述べています。

ロシアは今後も多極主義のアジェンダを追求し、西側と東側の間で取引をするのではなく、新たなグローバルな力の秩序を形成していくと表明しています。多極的な世界において、ロシアは軍事力、エネルギー、AIなどあらゆる分野で包括的に発展していく必要があると結論付けています。
この分析は、ロシアの思想家が現在の国際情勢をどのように捉え、自国の未来をどのように構想しているかを示す興味深い洞察です。