アレクサンドル・ドゥギン教授:「21世紀の世界的地理政治的再編における現在の動向」周辺的な考察: カルロス・ママーニ・アリアガ 2025年8月18日 alexander dugin アレクサンダー アレクサンドル・ドゥギン教授:「21世紀の世界的地理政治的再編における現在の動向」周辺的な考察: カルロス・ママーニ・アリアガ 2025年8月18日 alexander dugin アレクサンダー
「21世紀の世界的地理政治的再編における現在の動向」
周辺的な考察:カルロス・ママーニ・アリアガとの対話
8月18日
ブログ記事:アレクサンドル・ドゥーギンの講演から読み解く「21世紀の地政学」
ロシアの思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏の講演「21世紀の新たな地政学的構成における現在の傾向」の内容を深く掘り下げて分析します。
彼は、現在の世界が直面している地政学的変革の本質を、単極世界から多極世界への移行として捉えています。
1. 単極世界の終わりとリベラリズムの全体主義
ドゥーギン氏は、ソ連崩壊後の世界がアメリカ主導の「単極世界」であったと主張します。
この時代は、フランシス・フクヤマの「歴史の終わり」という概念に象徴されるように、リベラリズムが唯一無二のイデオロギーとして君臨しました。
彼は、競争相手がいなくなったリベラリズムが、その全体主義的性質を露呈させたと見ています。
2. 多極性の台頭:中国とロシアの異なる道
2000年代に入り、世界は多極世界へと移行し始めました。
特に、中国とロシアという二つの大国がこの動きを牽引しています。
中国の道: 経済的なグローバリズムを受け入れつつも、共産党による政治的権力を維持し、国家主権を保護しました。
ロシアの道: エリツィン時代に失われた主権を、プーチン政権が時間をかけて回復させるという道をたどりました。
両国は異なるアプローチで西洋主導の単極秩序に対抗していると、ドゥーギン氏は分析します。
3. リベラリズムの内部論理と「ジェンダー政治」
ドゥーギン氏の講演で注目すべきは、彼がリベラリズムの内部論理を深く考察している点です。
彼は、リベラリズムが個人の解放を徹底的に追求した結果、「ジェンダー(性別)」が新たなイデオロギー的フロンティアになったと主張します。
これは偶然ではなく、リベラリズムの核心にある論理的な帰結であると彼は見ています。
4. ポストモダニズムと情報の武器化
さらに彼は、ポストモダニズムが現実と虚構の境界を曖昧にし、事実を個人の解釈やイメージで置き換えるための「武器」として利用されていると警鐘を鳴らします。
これは、現代の情報戦やプロパガンダの背景にある重要な概念です。
5. 多極世界への抵抗と葛藤
ドゥーギン氏は、ロシア、中国、イスラム世界、ラテンアメリカなどが、西洋のグローバリズムとリベラルな個人主義に本能的に抵抗し、多極的な国際秩序を形成しようとしていると述べています。
興味深いことに、彼はトランプ現象も、グローバリズムに対する西洋社会内部からの反応であると捉えています。
6. 移行は不可逆的ではない
講演の最後に、ドゥーギン氏は多極世界への移行はまだ不安定であり、グローバリストが核戦争や新たなパンデミックを引き起こす危険性を警告します。
彼は、平和とは特定のイデオロギーの支配下でのみ存在し、真の多極世界秩序では紛争の性質が根本的に変わると結論づけています。
結論
アレクサンドル・ドゥーギンのこの講演は、現在の国際情勢を「単極から多極へ」という視点から読み解くための示唆に富んだものです。
彼は、リベラリズムの内部論理、ポストモダニズムの利用、そして異なる文明圏の抵抗が、この大きな地政学的変革を形作っていると分析しています。この複雑な時代の流れを理解する上で、彼の視点は多くの重要なヒントを与えてくれるでしょう。
