アレクサンドル・ドゥギン 「World 2050 - 国際セッション  "2050年未来フォーラム

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「World 2050 - International session. “Forum of the Future 2050”」 2050年の世界:多極化する未来と文明国家の役割

このパネルディスカッションでは、多極化する世界の未来像と、多様な文明国家が果たすべき役割について、各国の代表者が深く掘り下げた議論を展開しました。
モデレーターのアレクサンダー・ドゥーギン氏は、既存の固定観念にとらわれず、2050年の自国や文明の姿を語るよう参加者に促しました。

 

主要な論点と各国の視点

  • 中国の計画的アプローチ(チャン・ウェイ教授、フーダン大学)

チャン教授は、中国の卓越した計画能力と実行能力について強調しました。 ソ連の計画経済から学び、それを中国の状況に合わせて適応させてきた中国は、AI産業やEV産業などの戦略的計画において、特に実行面で優位性を示していると述べました。 「メイド・イン・チャイナ2025」計画の成功をドイツの「インダストリー4.0」計画の失敗と比較し、計画的アプローチの有効性を裏付けました。さらに、中国経済は2035年までにEUと米国の経済を合わせた規模に達すると予測しました。

  • BRICSの重要性とブラジルの挑戦(ペペ・エスコバル氏、ジャーナリスト)

エスコバル氏は、自身の広範な旅の経験から、東洋と西洋の比較について語り、BRICS、特にロシア、中国、イランから成る「プリマコフ・トライアングル」の重要性を強調しました。 これらの国々がBRICSの新時代のリーダーであるとし、ブラジルにはグローバルサウスのリーダーとなる機会があるものの、国内エリート層の無関心と非効率性がその可能性を阻害していると懸念を表明しました。

  • インドの変革とルネサンス(アトゥル・アネダ氏)

アネダ氏は、インドが現在進行中の大きな変革とルネサンスの時代にあると説明しました。 伝統と現代性が融合し、強い自信と明確な計画を持って未来に向かっていると強調しました。 インドは2047年までに先進国になることを目標とし、インフラ、軍事産業、製薬産業における革命を進行させています。 特に、多くのインド人を銀行システムに組み込んだデジタル決済システム「デジタル・パブリック・インフラストラクチャ」の成功を挙げました。 将来的な地政学的課題として、台頭する力への抵抗、米国との関係維持、中国との共存の重要性を指摘しました。

  • アメリカの主権と負債の問題(ジャクソン・ヒンクル氏、ブロガー兼ジャーナリスト)

ヒンクル氏は、アメリカの主権がウクライナ援助のような表面的な問題ではなく、国内の負債というより深い問題に根ざしていると主張しました。 米国の税収の半分がグローバル金融資本家への利払いに充てられていることを批判し、真の主権回復のためには、大規模な産業化政策、連邦準備制度の廃止、公的銀行制度、土地改革、そして帝国主義の終結が必要であると訴えました。

  • セルビアの選択と欧州連合(リリアーナ氏、ジャーナリスト)

リリアーナ氏は、セルビアが文明国家としての自己認識を持っていることを強調し、過去に欧州連合への加盟を望んでいたものの、加盟しなかったことが結果的に良かったと述べました。もし加盟していれば、情報源の検閲やロシアとの戦争への準備を強いられていただろうと指摘しました。

  • フランスのエリート層と属国状態(ローレン・ミシェル氏、アナリスト兼外交官)

ミシェル氏は、フランスを含む西側諸国が、エリート層の選抜の問題により、現状維持の「属国」状態に陥っていると批判しました。 フランスが歴史的に自己改革を行ってこなかったこと、そしてエリート層が国民の利益ではなく、EUやアングロ・アメリカンの覇権といった特定の勢力の利益のために選ばれていると指摘しました。 フランスとロシア・中国との関係悪化を例に挙げ、EUの将来は暗いと述べました。

  • 南アフリカのブール人とアイデンティティ(フランド・メー氏、クリスチャン組織責任者)

メー氏は、自身の「ブール人」が植民者ではなく、アフリカに深く根ざした「アフリカ人」であると主張しました。英国に対する抵抗を通じて国家を形成してきた歴史を語り、南アフリカにおけるブール人に対する差別と排除の現状を説明しました(例:言語の廃止、人種法など)。彼は、ブール人が独自の学校や銀行システム、慈善団体を設立し、社会のほとんどの領域から排除されようとしているにもかかわらず、繁栄していると述べました。南アフリカが世界間の橋渡しとなり、ロシアのような国々と協力し、国内を安定させ、西側文明の良好な代表となる可能性を強調しました。

  • 日本の国民文化の保護(木村 正秀氏、ビデオメッセージ)

木村氏は、一極的なグローバリズムが終わり、多極的な世界秩序へと移行する中で、日本の国民文化を保護することの重要性を訴えました。文明の尊厳と人類の多様性の精神を受け継ぐことの重要性を強調しました。

  • セルビア元副首相からのメッセージ(ビデオメッセージ)

元副首相は、独立の権利と、過去から学び、次の世代に価値観を伝えることの重要性について語りました。将来の紛争が主に情報戦となる可能性があり、人々が真実を批判的に判断できる能力を持つことの必要性を強調しました。 伝統的価値観、特に小国にとっては自由を維持し、ICT技術を習得することが重要であると述べました。 結論 アレクサンダー・ドゥーギン氏は閉会の辞で、参加者への感謝を述べ、BRICS諸国やグローバルサウスだけでなく、ヨーロッパやアメリカにも友人がいることを強調しました。 彼は、グローバリゼーションに反対し、「ディープステート」に反対する人々がすでにアメリカで権力を握りつつあると示唆し、参加者こそが未来を築く主要な主役であると述べ、フォーラムが定期的に開催されることへの希望を表明しました。 ビデオは、多極的世界秩序への移行、文明国家の役割、そして各国が直面する課題と機会についての深い議論を提供しており、未来を考察する上で非常に示唆に富む内容でした。 この動画は、YouTubeで直接ご覧いただけます: World 2050 - International session. “Forum of the Future 2050”