アレクサンダー・ドゥギン   「イラン・イスラエル」  大イスラエルプロジェクト 7月4日2025年

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著名な政治学者であるアレクサンドル・ドゥーギン氏へのインタビュー

イスラエルとイランの紛争、そしてそれが世界の多極化に与える影響について深く掘り下げています。ドゥーギン氏は、西側諸国では「プーチンの頭脳」として知られています。

イスラエルとイランの紛争の背景
「大イスラエル」プロジェクト: ドゥーギン氏は、イスラエルによるイランへの攻撃は、ネタニヤフ首相やベザレル・スモトリッチ氏のような極右シオニストが推進する「大イスラエル」プロジェクトの論理的なステップであると述べています。
このプロジェクトは、「海から海まで」の領土拡大を目指しており、シーア派イスラムの中心であるイランを主要な障害と見なしています。

抵抗勢力の破壊: シオニストは、ハマスの「アル・アクサの洪水」作戦の失敗後、ガザのハマス、レバノンのヒズボラ、シリアのアサド政権など、中東の抵抗勢力の力を破壊しようとしています。イランへの攻撃は、この抵抗勢力のエコシステムを完全に破壊するための最終目標であるとドゥーギン氏は指摘しています。

イスラム諸国の対応への失望: ドゥーギン氏は、イスラム諸国の指導者たちがイスラエルの行動を許していることに衝撃を受けていると述べています。ガザでの地上作戦開始時に地域勢力が介入していれば、深刻な影響を与えられたはずだと考えています。イエメンのフーシ派のみが「男らしく」行動し、シオニズムと戦うことでイスラム世界の誇りと尊厳を守っていると評価しています。

イスラエルの目標と終末論的視点
核災害と政権交代: イスラエルは、イランの核施設で「ダーティボム」のような核爆発を引き起こし、政権交代を試みるまで攻撃を続けるだろうとドゥーギン氏は予測しています。

メシア思想の歪曲: ドゥーギン氏は、シオニストの教義は伝統的なユダヤ教とは異なり、メシアの到来を待たずに自らをメシアと宣言する「異端」的な信仰であると説明しています。彼らは自らを神の使者と見なし、国際社会からの正当性を必要としないと考えています。

終末の戦い: ドゥーギン氏は、この紛争を「終末の戦い」と位置づけています。シーア派の信者にとって、イスラエルとシオニズムは「ダッジャール(偽メシア)」であり、シオニストにとって、シーア派の人々やイスラム世界は彼らの世界支配の障害であると述べています。

異なる終末論の交差点: ドゥーギン氏は、アメリカの原理主義プロテスタントがロシアを「ゴグとマゴグ」と見なし、中東の紛争に介入すると信じていることや、ロシアがウクライナでの集団的西側との戦いを「悪魔的な文明」との戦いと見なしていることを挙げ、これらが異なる終末論的思考の軸の交差点にあると指摘しています。

米国の役割と国内の分裂
トランプの動揺: ドゥーギン氏は、トランプ大統領がイスラエルへの攻撃を奨励したり、イランのウラン濃縮制限について話したり、イランをテロリストと非難したりと、日ごとに意見を変えていることに言及し、誰が真の意思決定者なのか不明であると述べています。

イスラエルによる操作: トランプはイスラエルとシオニストによって完全に操作されているとドゥーギン氏は考えています。

MAGA運動内の反戦感情: 「Make America Great Again(MAGA)」運動の支持者の間で、この戦争に反対する大規模な抗議活動が起きていることを指摘し、トランプが最も熱心な支持者の反応を完全に無視できないため、米国でこの戦争に関する分裂が深まっていると述べています。

グローバルな紛争としての位置づけ
多極世界対一極世界: ドゥーギン氏は、この紛争は、米国の西側覇権を必死に守ろうとする一極主義者(ネオコン)と、台頭する多極世界との間のグローバルな戦争の一部であると見ています。

複数の戦線: ロシアはウクライナで同じ敵と戦っており、中国も遅かれ早かれ台湾で同じ敵と戦うことになるだろうと述べています。イスラエルは西側の勢力と自らを位置づけていますが、彼らはこの戦争の「中心」であり「主人」であると考えていると指摘しています。

文明間の挑戦: ロシアはグローバリズムと戦い、イランとイスラム社会は自らの戦争を避けようとしているが挑戦を受けており、中国も自らの文明のために同じ敵と戦う挑戦を受けていると述べています。

ロシアのイラン支援と欧州への影響
ロシアの支援: ロシアはイランのイスラエルによる攻撃を支持しており、ウクライナでの特別軍事作戦の初期段階でのイランの支援に非常に感謝しているため、外交的、政治的、経済的にイランを支援するだろうとドゥーギン氏は述べています。しかし、軍事的な関与については確信が持てないとしています。

欧州への脅威: ドゥーギン氏は、イスラエルがロシアよりも欧州にとって脅威であると同意しています。イスラエルは欧州連合をグローバルな紛争に巻き込もうとしており、欧州はエネルギーやその他の面でアラブ諸国や中東に依存しているため、イスラエルへの支持は欧州内のイスラム系住民の反発を招き、欧州連合内に「時限爆弾」を仕掛けることになると警告しています。

欧州エリートの「狂気」: 欧州のエリートは、現代のアメリカ政府よりもはるかに悪いグローバリストであり、この「狂った傾向」の人質になっているとドゥーギン氏は考えています。
彼らは、世俗的で個人主義的、ポストヒューマニスト的な「歴史の終わり」という終末論的イデオロギーに従っていると述べています。
第三次世界大戦の可能性と核兵器の使用

第三次世界大戦の始まり: ドゥーギン氏は、第三次世界大戦がすでに始まっているかどうかを明確に定義することは難しいとしながらも、パキスタンがイスラエルがイランに対して核攻撃を行った場合に核攻撃を行うと約束していることや、イスラエルがイランの核施設を攻撃して核災害を引き起こす可能性があることを挙げ、すでに第三次世界大戦の中にいるかもしれないと示唆しています。

サムソン・オプション: イスラエルがイランとの戦争に負けそうになった場合、イランだけでなくイスラエル自体も破壊し、世界の首都をダーティボムや核爆発で脅迫する「サムソン・オプション」という脅迫があることに言及し、シオニストのメシア的で過激な精神性を考慮すると、これは非常に危険であると警告しています。

英国の道徳的退廃と解決策
英国の道徳的退廃: 英国社会における道徳的退廃、特にポルノスターの台頭、中絶の議論、LGBTQ+の推進について質問されたドゥーギン氏は、ロシアが愛国心と宗教によって社会を維持しているのに対し、英国は宗教への敬意を失い、多文化主義によって愛国心が揺らいでいると指摘しています。

保守革命の必要性: ドゥーギン氏は、英国も米国のような保守革命が必要であると考えています。英国の人々は、グローバリストで反英国的、反伝統的なエリートが権力を掌握している現状を好んでいないと述べています。

英国のルーツへの回帰: 英国の主要政党は国民を代表しておらず、移民もイスラム教徒も、そして真の英国人も代表していないと指摘しています。解決策として、英国のルーツ、伝統、国民、コミュニティ、価値観、文化への回帰を提案しています。
英国は、世界を征服し、他の文明を発見する中で、自らのアイデンティティを失ってしまったため、今こそ故郷に戻り、英国のアイデンティティを大切にし、救う時であると強調しています。


このインタビューは、現在の地政学的状況を理解するための重要な洞察を提供しており、特に終末論的な視点から紛争を捉えている点が特徴的です。