西洋文明はどこにあるのか? ロシアの哲学者アレクサンダー・ドゥーギン氏へのインタビュー 2025年11月16日
西洋文明の現在地:ロシアの哲学者アレクサンドル・ドゥーギン氏が語る多極化とリベラリズムの終焉
ロシアの著名な哲学者アレクサンドル・ドゥーギン氏は、上海で行われたインタビューにおいて、現代西洋文明の現状を「崩壊しつつある毒性の死体」と表現し、世界が向かうべき多極化(マルチポラリティ)世界の構造と、それに伴う地政学的リスクについて詳細な分析を展開しました。
現代西洋文明を蝕むリベラリズムと非人間化
ドゥーギン氏は、現代の西洋社会、特に若者を魅了しているとされる現象を分析し、**リベラリズムがその論理的な極限に達した結果が「非人間化」**であると主張します。性別適合、移民の増加、ドラッグ、そして技術デバイスへの依存といった事象は、集団的なアイデンティティからの「解放」として進められていますが、これは人間そのものからの解放、つまり人間性の否定へと繋がっています。
• 個の解体: リベラリズムの勝利は、個人をあらゆる集団的結びつき(家族、コミュニティ、ジェンダー)から切り離し、「猫」や「人工知能」としての存在を許容するに至りました。これは、マルクス主義における「階級」やナショナリズムにおける「国民」と同様に、現実には存在しない「個」という概念の具現化であり、最終的に「ゼロ」または「無」になると論じます。
• ポストモダニティはモダニティの崩壊: 西洋文明は、伝統的なカトリック時代(西側ナンバー1)から脱却し、過去を徹底的に否定する「モダニティ」(西側ナンバー2)へと移行しました。しかし、現在進行中のポストモダニティは、モダニティに取って代わる新しい段階ではなく、**モダニティ自身の虚無主義的な基盤が露呈した「崩壊の巨大な現れ」**であると強く批判しています。
